入社3年目までの離職率から見た人材育成のポイント
仕事のミスマッチングと入社3年目までの離職率
最近、企業の経営者や人事担当者に聞くと入社3年目までの離職率がひところと比べるとかなり改善されてきたと耳にします。
理由の1つとしてコンプライアンスの徹底や働き方改革などによるサービス残業撲滅がメディアでも流されています。
テレビドラマでも放映されていますが、各種ハラスメントに関する教育も功を奏しているとうたっている風潮もあります。
私が長年研修を担当している某上場企業でも5年前と今とでは従業員の待遇が驚くくらい改善されています。
社長も「最近、若者の定着率がよくてね・・・」と嬉しそうに語っていました。
しかし、厚生労働省が発表した最新のデータをみると否なんです!
厚生労働省が毎年、発表している「新規学卒者の離職率」に数字で事実が表れてます。
最終学歴別や企業規模別にも分類されていますので、ご興味のある方は一度見てみるとよいと思います。
大卒の最新版は平成27年3月卒の入社3年目の離職率が31.8%でした。
さかのぼる事5年の平成22年3月卒の大卒者の3年目離職率は31.0%と表示されていました。
思わず「おいおい」と思ってしまいました。5年前より微増の結果なんです。
私は研修講師の仕事に関連してキャリアコンサルタントの有資格者でもあります。
学生の就職支援の顔と企業の若手社員(入社3年前後)の研修担当の顔があり、こちらの面からデータを調べてみると「なるほど」と思う結果が表れていました。
産経ニュースの記事からの引用です。
学生に仕事を選ぶ基準は何かと聞くと、
「自分の好きなことができる」(92.7%)
若手社員に仕事を選んだ基準は何かと聞くと、
「自分の好きなことができる」(32.5%)
理想と現実のギャップがそこに表れています。
そこで、企業は対応策を講じます。
最近多いのが、上司がメンターになって行うメンター制度や、上司がコーチングのスキルを身につけて若年層に対してコーチングを行うなどです。
コーチングは双方向のコミュニケーションが図れますし、上司がチャンクアップの質問をすると部下のモチベーションが向上することなども実証されています。
私も企業研修の中で、ビジネスコーチングの指導を管理職に行うこともあります。
しかし、最近ここでも驚く結果を耳にしてしまいました・・・
研修講師という枠を超えてみたくなった時期があり、ビジネスパーソンの行動を科学的に探究する目的で経営行動科学学会という組織に所属しております。
先月、経営行動科学学会の年次大会が開催されました。
その中で、明星大学の尾野准教授が「若年就業者のキャリア焦燥感と垂直的・水平的交流関係」と題した研究発表の中で「エッ」と思う場面がありました。
離職意志との直接的な関係は解明されませんでしたが、要約すると上司が部下に対してアレコレ行う事より同期の仲間がアレコレ行う方が将来的な焦りは軽減すると結論付けていました。
考えさせられる内容でした・・・