管理職研修の現場から見た企業が行う人材育成のポイントと課題
企業が行う人材育成の中でも重要な管理職に対する教育のポイントってなに?
多くの企業では、その業種・業界の実情に合わせて新入社員研修から役員クラスの研修まで体系的に整備されていて、予算との関連で年間スケジュールが予定されています。
弊社にもクライアントから年間計画の打診が入ります。
教育上の目標を設定してPDCAをまわしていく流れなので、おおむねその方向性は正解です。
研修会社を経営している立場としては年間契約をいただけることはとても有り難いことです。
しかし、管理職研修の現場で講師をしている研修講師の立場から見ると「ウーン」と考え込んでしまう場合もあります。
具体的な話をすると人事教育担当の方が、革新的な考え方か保守的な考え方かによって大きく変わってきます。
保守的な考え方の方がご担当の場合、従来通りが既定路線です。
大幅な変更どころか、レジュメの一字一句変更を認めてくれない堅物もおりました。
そこまでいかないまでも、「自分が担当の間はこれで」と任期の数年間大過なく過ごせればと安易に考えている方は多いものです。
もちろん、会社の方針に反することはありませんが。
一方で革新的な考え方を持っている方は、常によりよいものを探求する傾向が強く研修講師としてはとても遣り甲斐があります。
たまに、注文が多くやりにくくなることもありますが・・・
ここ数年、働き方改革や各種ハラスメントの影響もあり3日間の管理職研修の中に「あれも入れて」「これも入れて」とご要望をいただく機会は多いです。
しかし、肝心な「何か」を忘れている企業は意外に多く見受けられます。
一般的には管理職研修ですから、マネジメントやリーダーシップに関することが中心となり時間によってはロールプレイング等多用して机上の空論にならないようにします。
しかし、肝心な「何か」が抜けています。
最近、新聞やテレビなどで警察官や教員、さらには企業の経営者が痴漢行為・脱税容疑などの違法行為で逮捕されたニュースを連日のように耳にします。
警察官は警察学校で定められた期間徹底的に教育を受け市民のために活動しています。
教員は児童生徒に授業を行い、ある意味模範を示す立場で親からも先生と呼ばれる立場です。
企業の経営者は地位も名誉もあり、社会的信用が大きい人が多くいます。
しかし、そのような人たちが逮捕される根本的な原因がどこにあるのか答えは「何か」にあります。
問われるのは、「△△理論」でもなく「○○スキル」ではありません。
どんなに知識や技術を身につけていてもとどのつまりそれを行うのは一人一人の人間性・人間力なんです。横文字でいえばヒューマンスキルということになります。
必要とされている決められたカリキュラムにそって管理職研修を行うことは否定しません。しかし、頭でっかちにしては駄目です。
先ずは一人一人の人間性・人間力を磨く教育を行うことが管理職に対する人材育成の最大のポイントと研修の現場の声として申し上げます。
頼まれてもいないことなのですが、講義の中で少し人間性・人間力に関して触れることがあります。
「そのようなことはうちの課長たちには必要ありません」「新入社員に指導するような内容は不要です」と言われることが時々あります。
(A)当たり前のことだからこそ、
(B)馬鹿にしてはいけないとなんです。
(C)ちゃんとできるようにやらねば!
ABCの徹底なんです。