中小企業が研修会社や研修講師に社内の人材育成を行う目的で研修を依頼する場合の注意点
人材育成を社外に依頼する場合のポイント
「零細企業や小規模の会社は人材育成に関わる予算のすべてを社長に使え」初めてこの言葉を聞いたのは、研修会社のサラリーマン講師を辞めて独立した時でした。
戦略・戦術に関する経営コンサルタントととして有名な先生の言葉でした。
研修会社を運営する立場の私としては「何てことを言うんだ」と驚いた記憶があります。
しかし、話をよく聞くと「なるほど」と思う点が多々ありました。
先生曰く「会社の最終責任は社長にある。社内の人材育成も社長の責務だ。それを他社(研修会社)に依頼するとは社長失格だ」
当然、経営コンサルタントの先生なので社長がもっと勉強しなさいと叱咤していた訳です。
しかし、会社のトップが勉強もしないのに社員さんに「勉強しなさい」と言っても社員さんのモチベーションは上がりません。
創業者や現在の経営者の想いはとても重要です。
思想の統一や価値観を共通なものにするためにも、トップダウンで社内の人材育成を考えることは中小企業では必要な事の一つです。
そうでないと、社長は東に向かおうとしているのに社員さんたちが西に向いてしまうようなことが起こってしまいます。
そこで、人材育成や研修を構築する段階から社長が何を考えているのか、会社をどの方向に進めていこうとしているのか研修会社や研修講師は徹底的にヒアリングする必要があります。
しかし、表面上のことは行われていますが、徹底しているかというと・・・
研修会社や研修講師の内側を暴露してしまうと、基本的に研修会社では営業担当社員が各種研修やセミナー参加の受注を取ることに必死になっています。
営業担当社員も生活がかかっていますので、数字を上げてなんぼです。
継続企業からの追加受注、新規顧客の獲得と躍起になって毎日行動しています。
当然、全員ではありませんが適当なことを言って受注して来る営業担当がいます。
私も研修会社でサラリーマン講師を9年行っていましたので、よくそのような場面に直面しました。
極端に表現すると、1日や2日の研修で参加者の性格をガラッと変えて社内の雰囲気を一変しますという様なセールストークです。
社長にしてみれば、「そうか」ではこの研修会社に頼もうかと安易に考えてしまう人もいます。
営業担当にしてみれば、売上が確保できますので安心です。
その会社の社長と何回か面談していますので、人間関係身も確立されている場合がほとんどです。
しかし、研修を担当する講師はどうかとなると?です。
事前に営業担当から詳細の情報提供や受注の経緯が報告される場合もありますが、たいていの場合本質までの情報までは伝達されません。
研修が始まってしまえば研修講師もプロなので、状況に応じて巧みに対応します。
しかし、創業者の想いや現在の経営者の考え方の本質までは知る由もありません。
研修を依頼した企業と研修講師の双方にとって不幸の始まりです。
ではどうすればいいのか、可能な限り事前に研修担当講師と顔あわや打合せの時間を設けるべきです。
研修会社によっては講師拘束料という費用を請求する会社もあります。
経営者の想いを知らない研修講師に自社の人材育成を任せるより、想いを知っもらい正しく理解してもらい共感してもらうくらいコミュニケーションをとるべきだと思います。
本来は社内の人材育成は社長がやるべきなのですから。