人材育成の専門家が見てきた企業が行う社員教育の正しい方法
多くの企業で人材育成のやり方で間違いをしている事実
自社の成長しているスピードや世の中の流れに合わせて人材育成に関する取り組みも変化しています。
日本が高度経済成長以降の時代は「モーレツ社員」と呼ばれる、家庭を顧みずに会社のために必死に働く社員が求められた時代もありました。
また、日本がバブル経済をむかえるとテレビのCMで流れた「24時間戦えますか」という言葉がはやったこともありました。
そのような頃は企業も人材育成に関する予算や時間をふんだんに使いました。
社員研修でも合宿研修が多く行われていました。
とりわけ管理職の研修では朝までたくさんの課題を出されて徹夜で課題に取り組むなんて言うこともありました。
今では、様々な制約があり無理ですし法律に触れる場合もあります。
しかし、現在は限られた予算と限られた時間の中で人材育成を行わなければなりません。
社内で社員研修を内製化する場合もありますし、社外の研修会社に依頼する場合もあります。
どちらの場合でも、短期間で最高の成果が求められることに変わりはありません。
社内の人事教育担当者も知恵を振り絞って最善の策を考えています。
研修会社の研修講師も与えられた時間を最大限に使って研修を担当し、成果を出すようにしています。
しかし、ここでも「何か」を忘れている場合が多いんです。
以前の記事にも書きましたが一言でいうと「闇夜のカラス」です。
企業の人事担当者も、研修講師も、研修を受講している社員さんも・・・
当然ですが、「闇夜のカラス」ではない企業もあります。
社内で各種の年間計画が立案されていたり、中期・長期の経営ビジョンが明確にありそれに基づいて人材育成の方針・目的・目標が定められている企業もあります。
概して、大企業はそのような傾向が多く見られます。
一方で中小企業は場当たり的に方針や目標が建てられている場合が多いように感じます。
進む方向が明確な企業は、やることも明確です。
進む方向が不透明な企業は進む方向も不明確になるのは当然の結果です。
「目標による管理」がブームになると、その研修を行い、「コーチング」が流行るとその研修を行うというパターンです。
研修会社にしてみれば売上が上がり、利益が確保出来ますから有難い話なのですが、誰のための研修なのかと考えてみると?になる場合があります。
ある企業では、人事教育担当者の社内での点数稼ぎのために社員教育を行っているのではないかと感じる企業もありました。
そのような企業の研修を担当すると、「今日の研修意味があるのか」「この忙しい時に研修か」と不平不満の声が必ず出ています。
企業にとっても、研修に参加する受講者にとってもマイナスからのスタートとなってしまいます。
経営者の判断決断で朝令暮改が起きることはよくあります。
しかし、表面上だけ真似して人材育成の現場で朝令暮改を行うことは危険が伴います。
経営者は今期の売上利益より、数年先の会社のことを考えています。
この会社を今よりどう変えればお客様に喜んでいただけるか、どうすれば世のため人のためになるかと必死になっています。
そこには、創業の精神があり現経営者の理念が形になった経営理念があります。
さらには、経営理念に基づいた各種目標と計画があります。
ところどころ手直しはしますが、ブレはありません。
目指す方向は一直線です。
従って、人材育成に関する目的も目標もはっきりしています。
はっきりしているので、研修を実施しても「何のためにやっているのか」が明確なので受講者のモチベーションもおのずと高くなります。
一方で、創業の精神もなく今後のビジョンも不明確な企業では人材育成に関することも場当たり的に行われている場合が多く見受けられます。
そのような企業では先ず、人材育成に関するビジョンや目標を見直してみることから始めてみることをお勧めします。
次に、人材育成に関する問題点を可能な限りリストアップしてみます。リストアップする件数が多ければ多いだけ確度が高くなります。
次にその問題点に優先順位をつけてみます。
その際、「重要性」だけで判断せずに「緊急性」「将来性」も判断する要素に加えてみることをお勧めします。
この点は合理的思考法のKT法の応用なのですが、より自分の会社の人材育成に関する課題が明確になってきます。
課題が明確になったら階層別の目標、各種テーマ別の目標を設定し計画を策定していけばブレがなくなります。