企業が人材育成の課題の一つとして社員のキャリアデザインにどのように取り組むべきか
人材育成とキャリアの関係性
2016年に日立製作所が開催したフォーラムに参加した時、たまたまロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授の特別講演を拝聴する機会がありました。
お恥ずかしいことにその時は、「ライフシフト」の作者とは知らずにお話を聴いていました。
衝撃が走ったのは人生のステージが3.0から3.5や4.0に移行しているとのことです。
ご承知の方も多いと思いますが、3.0とは従来の人生のプロセスを教育・仕事・老後の3つに分けた考え方。
企業視点でみると、仕事のステージのみ考えることになります。
新入社員としてキャリアをスタートして、仕事を覚え、部下を持つ一般的な流れに沿って人材育成を考えてきました。
しかし、平均寿命が延びた現代では人生100年時代を視野に入れたキャリアを考える時代になっていることを力説されていました。
先を見ている欧米の企業では早くから定年後の社員さんが活き活き活動できるように、在職中から退職後の第二の人生を楽しめるように様々な試みを行っておりました。
私が若い頃勤務していた自衛隊では、階級によって定年になる年齢が決められていました。早い人は53歳で定年です。
昔でいう少将(現在は将補)にならないと60歳まで勤められない現実があります。
しかし、そこはお上のやることなので一応抜かりなく支援する仕組みが整っています。
援護センター(現在は援護果)という組織があり、再就職の斡旋から各種資格取得の支援を行っています。
企業でも早期退職制度を導入しているところでは、同様の取り組みをしている場合も若干ではありますが見られます。
企業が自社で働いている期間だけ社員さんの面倒見るのではなく、会社を辞めた後の社員さんの人生にまで責任を持つのが当たり前の世の中になりつつあります。
となると、企業が人材育成の課題の一つに早い段階から定年後のことに目を向けたキャリアデザインを考えさせる取り組みも大切なポイントです。
世の中の流れとして、働き方改革があります。
かつてのような長時間労働は改善されている企業も増えてきました。
限られた時間の中で最良の成果を上げることを社員さんたちは求められています。
時短、効率、に焦点を絞った社員教育を多いですが、長い目で見たキャリアに関する教育はまだまだ整備されていません。
キャリアコンサルタントとして、個別に定年後を視野に入れたキャリアに関する相談を受けることはあります。
しかし、残念なことに企業が行う人材育成の中には含まれていない場合がほとんどです。
人生100年時代、社員さんが現在の仕事に集中して取り組み定年退職後の第二の人生をより快適に過ごすことが出来るような仕組みを構築していくことをお勧めします。
現在の高校や大学に設置されている就職センターのような組織が、各企業の中に設置され再就職支援や第二・第三のキャリア支援を行うような世の中になる日も迫りつつあります!