企業の人材育成は上司が職場で行う部下育成が基本
人材育成と部下育成の関係性
管理職研修を担当していると、ときどき「若年者の育成は人事部門の仕事でしょ」と耳を疑う発言を聞くことがあります。
初めて聞いたときは「おいおい、それ間違えているよ」と思いました。
しかし、結構な頻度で聞くようになるとどっちが常識でどっちが非常識なのかと思うこともありました。
管理職は自部門に課せられた年間予算目標を達成することが全てと完全に視野狭窄に陥っている人もいます。
そのような人は悪びれず「部下を育成している物理的な時間がありません」とストレートに表現します。
管理職研修の中で部下育成できていないと答える人に「なぜできないのですか」と聞くこともあります。
99.9%の確率で「業務が忙しくて」と言い訳を言ってきます。この考え方は間違えています。
管理職の任務の重要項目に部下を育成することがあげられます。
短期的視点と中長期的視点によっても若干の違いはありますが、部下を育成することは管理職の任務です。
企業は常に発展成長し続けていくものです。今年の売上を上げて、利益を確保することはもちろん大切なことです。
しかし、部下をきちんと指導育成しておこないと数年先に大変なことが起きてしまうことは目に見えています。
であるのにもかかわらず、目の前の数字にしか目が向かない管理職は多くいるのが実情です。
更に最悪なケースでは、部門長クラスが2年前後で異動になる会社です。私が研修を担当しているクライアント先でも支店長クラスが頻繁に交代する会社があります。
部下の本音は「上がコロコロ変わり、変わるたびに言うことが違う」という声もききます。
しかし、部下育成は管理職の重要な任務なんです。放棄してはいけません。
企業によっては人事部門が中心になって作成したキャリアマップがあり、それに基づいて人材育成を行っている会社もあります。
また、人事考課制度が整備されていて年間に数回上司と部下が面談を行っている会社もあります。
だから部下育成していますと開き直る管理職がいるのも事実です。
これでは上司が部下育成する目的は何か完全に見失っています。
経営者や人事教育部門の方は、自社の現状を見つめなおしてみる必要があるかもしれません。
その上で、現場の管理職が部下育成することは自分の任務の一つであることを正しく理解させることから始めることも大切です。
人材育成の一環で管理職が現場で部下育成する目的・目標を今一度明確にしてみましょう。
部門全体の部下育成に関する目標と部下一人一人の育成上の目標を明確にし、計画的に部下育成を再構築してみましょう。
「木を見て、森を見ず」にならないように、「森を見て、木を見ず」にもならないようにすることです。
大切なことは「木を見て、森も見る」の精神で、部下育成を管理職が任務として捉え忙しい業務の中にあっても、自分の手で自分の部下を育成していくような仕組みづくりは大切です!