企業の中で人材育成に関する研修プログラムを作成する場合に注意するべき重要なポイント
人材育成ではどの階層でも「能動的学習」がとても重要
社内で行われる社員研修でも、一般の方が参加できる公開セミナーでも講師がテーマに沿って講義を行います。
そして、たいていの場合は有意義と感じることを教わります。
または、自分が知りたかったことを知ることが出来てとても満足感を得ることもあります。
この状態のことを簡単に言うと「あー勉強した」このような感じです。
しかし、エドガー・テールが提唱している学習ピラミッド(The Learning Pyramid)によると講義から得られる平均学習定着率(その学習でどの程度身についたか)はたった5%と驚く結果が示されています。
研修講師としては、体感的に20%~30%くらいはあるだろうと思っていましたが悩ましい数値に唖然としました。
なぜなら、講義で講師が必死に伝えても95%は定着しないという結果だからです。
学習には受動的学習(Passive Learning)と能動的学習(Active Learning)の2つがあります。
講義は前者の受動的学習(Passive Learning)になります。
講義を受講するというのは漢字が示している通りで、受け身の学習です。
百聞は一見に如かずということわざにある通りで、百回話を聞くより一回見るほうが効果があることが学習ピラミッド(The Learning Pyramid)でも示されています。
読書すると定着率10%になり、視聴覚教材(動画など)を使うと定着率が20%まで上がることが示されています。
それでも、受動的学習(Passive Learning)だけでは限界があります。
研修講師の世界では、講師初心者はあらかじめ用意された研修プログラムに沿って研修を進めます。
経験を積んでいくと、研修プログラムの手直しや一から研修プログラムの構築を行うようになります。
その場合、きちんと研修効果を考えて研修プログラムが構築されていれば問題ありません。
しかし、本質を知らない人が構築すると講義だけで研修プログラムが作られてしまいます。
5%の定着率で終わってしまいます。不幸の始まりです。
それではどうすればよいのか、一言で言うなら受け身の学習から能動的な学習に変えることです。
研修講師の話を座って聞くだけではなく、その内容に関してグループで討議を行うだけでも学習効果が跳ね上がります。
平均学習定着率では50%と示されています。
さらには、実体験してみると空に効果が高まり平均学習定着率が75%にもなります。
学校の授業でいうところの演習や実験です。
あくまでも演習・実験なので実際の行動(接客・製作など)に移さないとダメ。
トライ&エラーを繰り返しながら学習した内容を定着率100%つまり身についたと言える段階まで引き上げていくこと。
これが企業の中で行う人材育成では重要なポイントになります。
最後に漢字の確認です。講義の義にはニンベンがついていません。講師が義を講ずるからで、受講者・参加者は聞くだけ。
一方で、討議や会議にはニンベンが付いています。
受講者・参加者が意見を言ったり、発表したりするからです。
さて、あなたの会社で行われている研修は講義一辺倒ではありませんよね?