企業が人材育成の一環として行うキャリアプランのポイント
人材育成するならキャリアプランとライフプランの両面が大切
企業の社員研修を長年担当してきた経験上、企業内でキャリアプランやキャリアデザインに関する教育を行う場合、ある方向に目標設定させる傾向があります。
新入社員研修では3年後の職場内におけるあるべき姿を求めさせます。
入社10年目の中堅社員研修では、40歳や50歳になった時に各分野のスペシャリストを目指すのか、またはマネジメントの役割を担える人材を目指すのか考えさせたりします。
当然、社員研修・社員教育の中で行っている事なので正解です。
しかし、それだけでは50点ということをほとんどの企業では理解していません。
なぜ50点止まりなのかは、はっきりしています。
各企業の教育に関する予算を使って社員研修・社員教育を行います。
そのため、企業のためになる人材に育てようとします。
会社のお金を使っているわけなので、当たり前のことです。そうなると、会社の一員として何が出来るのか?
会社の一員として将来どのようになって欲しいのかということに特化した研修プログラムになってしまいます。
当然と言えば当然の流れなのですが、それでは仕事上の事にだけ目を向けることになります。
公私という観点からすると、公の領域にだけ焦点を絞りますので、私の部分、つまり私生活やプライベートに関することにはノータッチです。
なかには「プライベートのことまで、会社がお金を使って考えることはない」とストレートに表現していた人事担当者もいました。
正論といえば正論なのですが。
キャリアプランは文字通り、キャリア(仕事)に関する目標や計画を考えることです。
しかし、仕事を円滑に進めたり、やる気になって仕事に取り組むためには私生活は切っても切り離すことはできません。
そこで、キャリア(仕事)に関する目標や計画を考える時に私生活の計画=ライフプランを一緒に考えることはとても大事なことになります。
今後、どのようなライフイベント(私生活の行事)が起きるか予想するとどのくらいのお金が必要になるかも見えてきます。
某生命保険会社の試算では定年までに、結婚・出産・子供の学費などで5,864万円必要になるとのデータもあります。
皆様の会社ではキャリアプランとライフプランの両面を考えるようにしているでしょうか?今からでも遅くないと思います。
キャリアプランだけに傾注しているようならば、ライフプランにも目を向ける研修を導入することをおすすめします。
以外に「もっと仕事で頑張ってお給料を増やします」「忙しいと言い訳をしないで、資格取得をめざします」と自発的に仕事にやる気を出す社員さんが多いことに驚きますよ。
人材育成の専門家が教える企業が行う社員教育の正しい方法
多くの企業で人材育成のスタートから間違いをしている事実
企業の人材育成に関わる仕事を26年間行っています。
経営者や人事担当者と打合せを行い、各企業の実情に合わせて研修プログラムを作成し、人材育成のお手伝いをしております。
ほとんどの企業で「会社をこのようにしたい」「社員をこのように育成したい」とご要望をいただきます。
そのこと自体に異を唱えるつもりは毛頭ありません。
外部の研修講師なのでご要望に沿って研修は行います。
しかし、「それ間違えているな」と感じることが多々あります。
経営者や人事担当者の「ひとりよがりじゃん」と感じてしまうこともあります。
何かが違うんです。
何かを忘れているんです。
そのために、会社と社員さんの貴重な一日を使って外部の講師をよんで研修を行ってもたいていの場合、一過性で終わってしまいます。
すなわち、研修終了時は達成感や高揚感があり社員さんたちのほとんどが満足されます。
企画した事務局を務めた人事担当者や経営者も時間と費用をかけて研修を実施してよかったと思います。
事実、研修レポートやアンケートを見てもそのような結果が記されています。
しかし、何かが違うんです。
何かを忘れているんです。
研修での受講者の到達ポイント即ち目標は明確になっている場合がほとんどです。
中には、そもそも目指す目標自体があいまいの場合や、目標が間違っている場合もありますが。
話を元に戻すと、例えば新入社員研修や新任の管理職研修を実施する場合、受講者にこうなって欲しいとか、ここまで成長して欲しいとあるべき姿を設定します。
そのこと自体は間違いではありません。
しかし、その前に考えなければならないことがあるのです。
それを理解していない経営者・人事担当者の多いこと。
目標を設定する前に、何のために研修を行うのかその目的をはっきりさせるべきなんです。
目的が不明確だから、目標もぼやけてしまいます。
私自身、雇われ講師として研修会社に所属していた時はそんなことを考えたこともありませんでした。
仕事をして、毎月決まった給料をもらうだけでしたので。
しかし、独立して自分で研修会社を経営してみると、行動のすべてに目的がある事に気がつきました。
そこで、目的が不明確な状態の事を「闇夜のカラス」と名付けました。
「闇夜のカラス」だと、カラスが夜空のどこにいるかわかりません。
すなわち、自分の立場・立ち位置・役割が不明確になります。
また、カラスがどこにいるかわからないのでカラスのくちばしがどっちを向いているかもわかりません。
すなわち、自分の進むべき方向・方向性が不明確になってしまいます。
つまり、人材育成を行うために研修を企画する経営者や人事担当者が目的が不明確な状態の「闇夜のカラス」だと、受講する社員さんも「闇夜のカラス」になってしまうわけです。
従って、「こうしたい」「こうなってほしい」と目標を考える前に「何のために」と目的を明確にすることが人材育成のポイントなんです。
ブログ初心者ではありますが、人材育成の専門家としてまた、キャリアコンサルタントとして皆様にマル秘情報を随時お伝えしてまいります。