企業の人材育成担当者必見の管理職研修でおさえるべき重要なポイント
新任の管理職研修で、聖人君子を目指す人材育成の罠
新任の管理職研修では、管理職はこうあるべきと言ったあるべき論がよく論ぜられます。
新任の方だからこそ必要と言えばそれまでですが、果たしてあるべき姿をイメージさせてそこに近づくように仕向けて行くことが本当に大切なのか疑問に感じることがあります。
あるべき姿とは言葉を変えれば理想像となります。
もう少し言葉を変えると現時点からの目標といってもいいかもしれません。
このことを儒教に置き換えて考えてみると、新任の管理職に聖人君子を目指しなさいと言っているような話です。
いきなり、聖人君子ではハードルが高すぎて理解できない場合が出てきます。
人材育成の現場で研修講師として27年目をむかえました。
新任の管理職研修で講師が「管理職の任務は〇〇です」と言えば、「ハイ」と返事があります。
メモやノートを見て回っても、講義の中で講師が話したポイントはしっかり記録に残っています。
講師としての経験が浅いと「よしよし」と受講者が理解してくれたと思い込んでしまいます。
しかし、現実はそんなに甘くありません。
受講者の側もその場では理解したつもりになっていますが、違った角度から質問してみるとチンプンカンプンなんて言うことはよくあります。
理想を論ずるよりは、もっと身近な事に目を向けてもらう方が現実的です。
そもそも、研修を担当している講師でも聖人君子ではありません。
私なんかはいつまでたっても小人の域を超えることが出来ていないと自覚しています。
ただし、小人から成長するように普段から努力をしています。
実は、このことが大切ではないかと感じています。
つまり、たいそうな目標やアクションプランを立てても机上の空論や絵に描いた餅では意味がありません。
身近なことで出来ること、やれることに対して毎日コツコツ努力することの方がよっぽど大切です。
現実をもう少し直視した方が良いに決まっています。
実は結論から言うと管理職のあるべき姿は十人十色なんです。
リーダーのリーダーシップの基になっているものはそれぞれの性格・個性です。
プロ野球の監督がいい例です。
目指すゴールはペナントレースで勝ってペナントを奪取することですが、そこに行くまでの道中は様々です。
表面上で判断するなら、鬼軍曹タイプの監督もいれば、寡黙な監督もいます。
指導の仕方、チームの導き方は千差万別です。
監督の個性でチームが一変することはよくあります。
企業の管理職も同様です。
そうそう研修を受講したからと言って、人の根本までは変わりません。
その人ごとの個性を伸ばして最適なスタイルを探すことの方が大切です。
いきなり聖人君子を求めることは大きな過ちではないでしょうか。
人事教育担当者は「研修を実施しました病」になってはいけません。
特に中小企業が大手の真似をしても仕方ありません。
身の丈に合った人材育成の方法を現実路線で考えていきましょう。